相手のことも考える円満離婚

養育費の増額や減額の変更

離婚時に、離婚協議書や公正証書で養育費の取り決めをすることは、今後の監護者とお子様の生活安定のためにとても大切であり、それは当然に、取り決めた時期まで支払われるべきものです。

ですが、養育費支払期間というものは10年、15年と長期に渡ることもあり、その間に様々な事情変更がある可能性があります。

「会社が倒産してしまった」「病気で働けなくなった」「再婚して子供ができた」等、生活状況が変わることはあるでしょう。

そういった場合は、養育費を払う側と受ける側双方でお話合いをして解決できれば良いのですが、協議がうまくいかない場合は、養育費増額/減額の調停を申し立てることができます。

調停で話し合っても解決に至らなかった場合には、「審判」といって、それまでの話合い内容をもとに裁判官から増減額について言い渡されることになります。

ただし、なんでもかんでも申立てが認められるわけではなく、最初に取り決めをした時に予想できなかったような重要な事情変更があった場合に認められる、とされています。

 

投稿日 : 2021年12月3日
カテゴリー: 離婚

支払が滞ったら

離婚の際に、養育費や慰謝料等の金銭を支払う約束を公正証書にするとき、支払われない場合には強制執行ができるという文章を必ず入れます。このような証書や、調停調書、判決のことを「債務名義」といいます。

ところが、これまでは、せっかく債務名義があって、いざ強制執行をしようとしても、相手方が働いている会社や、預貯金の銀行支店名が分からなければ執行の手続きができませんでした。

また、銀行に財産がなければ空振りに終わるということもあります。

そこで、今年の4月1日に改正民事執行法が施行され、財産開示手続きが使いやすくなり、情報取得手続きが新設されました。

例えば預貯金に関する情報を知りたい場合、裁判所に申し立てることによって、銀行のどの支店にそれだけ財産があるかという情報を取得できるようになりました。
(ただし、おおもとの銀行は自分で調べる必要があります。)

養育費に関しては、事前に裁判所の財産開示手続きが必要ですが、市町村から相手方の勤務先情報を取得することができるようになりました。

この改正によって、公正証書を作成するメリットが大きくなったといえます。

投稿日 : 2020年6月16日
カテゴリー: 離婚

婚姻費用

婚姻中の夫婦は互いに協力しあい、生活費もお互いに分担しあう義務があります。
この、婚姻中の生活費のことを「婚姻費用」と言います。
(知らないと「婚姻費用=結婚式にかかる費用」と思う方もいらっしゃいます。)

この「婚姻費用」は、夫婦仲が悪くなりたとえ別居していても、結婚している限りは分担しあう、すなわち収入の多い方から少ない方に対し負担する義務があるとされています。

同居している場合はあまり問題になることはありませんが、例えば家庭内別居で生活も完全に別なような場合には、婚姻費用の請求が認められることもあります。

「養育費」は、離婚後を前提としたお子様の監護(養育)に必要な費用のことですが、「婚姻費用」は婚姻中を前提にした配偶者とお子様の生活費ですから、養育費より高い額となることが多いです。

この「婚姻費用」は、過去分も含めて請求できるとされています。
当事者の合意ができる時点まで遡って請求できますが、合意ができない場合は、婚姻費用の請求をした時点、具体的には家庭裁判所に婚姻費用分担調停又は審判を申し立てた時点までとされることが多いです。

ですので、別居していて生活費がもらえず生活が苦しい、という方は、早めに調停の申し立てをする方が良いのです。

投稿日 : 2020年5月12日
カテゴリー: 離婚

離婚調停と離婚届

協議離婚の場合、市区役所に離婚届を提出することで離婚が成立します。

調停離婚の場合は、家庭裁判所で離婚の調停が成立した、その日その時に離婚が成立します。

その場合でも、離婚届出はしなければなりませんが、これはあくまでも戸籍に離婚したことを反映させるための手続きです。

離婚届を提出するのは、便宜上戸籍から抜ける側の方が多いですが、離婚届に相手方の署名も証人の署名も必要ありません。(そのかわり、調停で合意した事項を記載した調停調書を持参します。)

こういったことは、意外と知らない方が多いです。

投稿日 : 2020年4月10日
カテゴリー: 離婚

養育費・婚姻費用の算定表改定

離婚時の養育費を取り決める際、又は別居時の婚姻費用を取り決める際に、話し合いのベースとして使用されている算定表が改定されることになりました。

算定方式や活用方法は変わらず、算定の基礎となる統計資料等が更新されるなどの改良が加えられているようです。

公表は令和1年12月23日ということで、新しい算定表は裁判所のウェブサイトに掲載される予定です。

これまで使用していた算定表は算定額が低く、母子家庭が生活するには充分ではないという批判がありました。改定された算定額がどうなるかはまだ分かりませんが、変動はあると思われます。

また、裁判所では、新しい算定表の公表後はそちらを活用する可能性が高いと思われます。

投稿日 : 2019年11月15日
カテゴリー: 離婚